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機械インターフェイス学研究室
研究紹介
Interface Systems Laboratory
スタッフ
教授 五福 明夫
講師 亀川 哲志
特別契約職員助教 古澤 宏明
技術専門職員 柴田 光宣
連絡先

〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1

岡山大学大学院 自然科学研究科

産業創成工学専攻 知能機械システム学講座

機械インターフェイス学研究室

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研究の概要

  機械インターフェイス学研究室では,人間と機械やコンピュータとの共存を目指し,ヒューマンインターフェースならびにロボットシステムに関する研究,教育を行っています.

具体的な研究項目としては,以下のものがあります.

(1) プラント運転支援システム
(2) スキルの抽出と伝承に関する実験的研究
(3) 医療支援システム
(4) センサシステムとアクチュエータ
(5) ヘビ型ロボットに関する研究
(6) レスキューロボットに関する研究

主な研究プロジェクトの紹介
プラント運転支援システム

   自動化システムの能力の向上に伴い,運転員と自動化システムとの役割分担やインタラクションをどのようにヒューマンエラーの低減に結びつけるかが話題になっています.プラントの構成や発生した異常状況の複雑さに起因するヒューマンエラーを低減するため,運転支援システムをコオペレータ(協同運転員)として考え,コオペレータの構成と必要な機能について検討および開発を行っています.運転支援システムは,プラントのモデル,診断知識,運転知識などを保有しています.これらのモデルや知識は,運転員も教育,訓練や運転経験等により獲得しています.そして,運転員と運転支援システムは,中立的な相互作用(対話)により情報を交換し,運転上の知識を共有する事を目的としています.また,運転支援システムは相互作用の履歴を保存することにより,運転員の操作における影響を推定し,必要な場合には運転員の操作に介入します. 近年多くのプラントで導入されている表示画面上の運転操作盤を対象として,運転員の持つ異常時に対応出来る柔軟性と,コンピュータの持つ論理的な演算能力を活かすために,運転支援情報を生成する研究も行っています.「安全」をキーワードとして,プラント異常時の安全性を保つための,異常診断手法や運転員と自動システムとの効果的なインタラクション手法を研究しています.

スキルの抽出と伝承に関する実験的研究

   団塊世代の退職が始まるに伴い,様々な分野において熟練したスタッフのスキルの抽出やその若い世代への伝承が問題となっています.本研究室ではプラント運転に関するスキルの本質や効果的な伝承方法を,運転操作画面上での視線と操作に着目して,実験的な研究を行っています.すなわち,仮想的なプラントの操作熟練者の視線の特徴を明らかにし,熟練者の視線傾向とシステムの安全上重要な変数との関連性や熟練者の視線傾向を活用することによる熟達度向上への効果を実験的に検討しています.

医療支援システム

   近年,情報通信技術の発達に伴って,遠隔医療システムが研究されています.本研究室では,手術室内の執刀医を外部の専門医が支援するためのシステムとして,Webカメラの上に独立して指示動作ができるレーザポインタを装備した遠隔システムとその操作インタフェースを開発しています.このシステムは,執刀医だけでなく救急隊員への病院からの指示等様々な分野における現場へのアドバイスや指示を適切に与えるためのツールとして応用可能です. また,幻肢に伴う疼痛をVisual Feedback法により治療するために,残存する手にデータグロープをはめた患者の喪失側の手がデータグローブの動きと連動してあたかも自分の手のように動くVR(仮想現実感)システムが開発されています.本研究室では,このシステムの効果を高めるための治療VRコンテンツの拡張を行っています. さらに,手術のスキルの効果的な伝承を行うための基礎として,執刀医の行動の観察と分析を行っています.

センサシステムとアクチュエータ
  • インテリジェントマークシステム

     日常生活環境において,人間の生活を支援できるサービスロボットの実用化が求められています. サービスロボットがユーザからの指示に基づいて効果的に活動するには,外界からの情報を獲得する能力,獲得した情報を元に知識を構築する能力,および,構築した知識を基に自律的な動作を行う能力が必要です. ロボットの環境認識の方法としては,「カメラ等による画像認識を用いる方法」が挙げられますが,現在の技術では正確な環境の認識は困難です.そこで,本研究室ではその物に関する情報を組み込んだ「インテリジェントマーク」を環境に配置して環境の知能化を行っています. 認識システムを取り付けたロボットは,マークが記憶している情報と,物体との相対位置を獲得しながら,依頼されたタスクを実行します.
  • 電磁石駆動の球面モータの開発
 家庭内という狭い環境内での移動ロボットの駆動源として,電磁石駆動の球面モータの開発を行っています.これまでに,半球状に多数配置した電磁石を適切に励磁することにより,永久磁石を多数配置した球状の回転子が様々な方向に回転することを実現しています.現在,回転速度や駆動トルクの向上を目指して,電磁石や永久磁石の配置,また,電磁石の励磁方法を検討しています.
ヘビ型ロボットに関する研究

   生物の蛇は単純な形態でありながら,移動するときには「足」となり,作業するときには「手」となり,さらに環境に巻きつくときには「腕」になるなどして様々な機能を果たします.この生物の蛇のメカニズムを工学的に応用すれば,汎用的な機械システムを構築できる可能性があります. そこで,複数のユニットを直列に多数連結した冗長システムとしてヘビ型ロボットをモデル化し,構成論的な解析や実験を様々な切り口で行っています.

  • 3次元空間を運動するヘビ型ロボット

     これまでの研究により,蛇は足がないのになぜ移動できるのかが工学的に解明されてきました.生物の蛇は移動する際に体幹に沿ってエッジを立てることにより進行方向とそれに垂直な方向との摩擦の差を生じさせ,それを利用して横うねり推進をしています. これまでに,ヘビ型ロボットで,蛇の横うねりによる推進のみならず,サイドワインディング推進や,縦波を伝播する尺取虫のような推進,さらにはラテラルローリングと呼ばれる生物の蛇では観察されないような特殊な 推進による移動が実現されています.しかしながら,従来のヘビ型ロボットは多用な移動形態をもつものの,それらの移動は2次元平面上に限られていました.生物の蛇は木に登ることができ,3次元の空間を移動することができます.そこで,本研究では従来のヘビ型ロボットのもつ多様な移動形態に加え,円柱に巻きついて登る移動形態(cylinder climbing) を実現するヘビ型ロボットを開発し,ヘビ型ロボットの移動空間を3次元に拡張することを目指しています.
  • CPGネットワークに基づくヘビ型ロボットの運動生成

     多自由度冗長システムであるヘビ型ロボットは非常に興味深い運動機能を見せるものの,従来のヘビ型ロボットの運動制御はいわゆるシフト制御やモデルベースド制御でありました.本研究では,ヘビ型ロボットの移動を「知能化」するべく,そのシステムアーキテクチャを研究の対象としています.特に本研究では,認知科学の分野で近年注目されているロボットの「身体性」を考慮したヘビ型ロボットエージェントの自律移動の実現し,真に環境に適応した移動様式を見せるヘビ型ロボットを構築することを目指しています.そこで,本研究では,Central Pattern Generator(CPG)を数理的にモデル化したものに注目しています.CPGとは生物の脊髄の中に存在するとされる神経回路であります.動物の行なう歩行などの基本的な周期運動は大脳皮質などの上位中枢においてではなく,脊髄などの下位中枢で自律分散的に生成されており,CPGは脳から独立してパターン運動を誘発するジェネレータということができます.現在までに,物理シミュレータ上に構築したヘビ型ロボットのモデルを,CPGを用いて推進させることを実現しました.今後は,環境や移動速度に適応して推進 形態が変化するように,ヘビ型ロボットのモデルに環境からのフィードバックを受け取るセンサを多数配置し,CPGを含むニューラルネットワークをどのように構築すればよいか探ることが課題です.
  • 冗長性を考慮した連結車両の走行制御

     複数の車両を連結したヘビのような細長いロボットは,狭隘地への進入と不整地の走破性の向上を両立できるためレスキューロボットとして応用が期待されています.しかしながら,このようなロボットは自由度が多いためロボットの操縦が複雑になることが問題です.そこで本研究では,少ない入力数でロボット全体がスムーズに走行するためのアルゴリズムとして,幾何学的な拘束条件により,先頭の車両に後続の車両がなめらかに追従する手法を提案しています.また,赤外線センサを使って障害物を検知し,狭隘地で障害物を回避して自動的に走行するアルゴリズムを確認するために,実際に3車両を連結したロボットを構築し,これを用いて2次元平面内での障害物を回避する実験などを行っています.
レスキューロボットに関する研究

   1995年の阪神・淡路大震災を契機として,日本国内でレスキューロボットの研究開発が始まりました.本研究室でも災害発生時にロボット技術・情報技術を活用して被害を軽減化することを目的として,レスキューロボットの研究・開発を進めています.

  • 兄弟型レスキューロボットプラットフォームの開発
 地下鉄・地下街やビルなどの閉鎖空間において,建築物自体は完全に倒壊しきっていないが2次災害の危険性があるため,レスキュー隊員などが内部を調査するには非常な危険が伴います.このようなときに,人間の代わりに内部に進入して建造物の被災状況や要救助者の有無を調査するためのRTシステムとして, 兄弟型レスキューロボットを開発しています. 無線中継ノードを搭載した兄ロボットは遠隔操縦で無線中継ノードを環境に設置していくことにより情報インフラを構築し,弟ロボットが構築された情報インフラ内において半自律的に環境情報を収集します.現在までに,それぞれの目的を果すための兄ロボットと弟ロボットの試作機を開発しています.
  • 移動ロボットの遠隔操縦に関する研究
 レスキューロボットのような移動ロボットは,ロボットを操縦するオペレータが安全な遠隔地にいて,そこからロボットを操縦するシステムになります.このように遠隔地からロボットを操縦する場合,直接ロボットを目視することができないため,その操縦は一般にむずかしいものになります.そこで,オペレータの操縦するロボットを斜め上から俯瞰的に見下ろすカメラをとりつけて,客観的な視点をオペレータに提示することで遠隔操作性を向上させる方法や,レーザーレンジファインダーといったセンサ情報をもとに遠隔操作性を向上させるシステムの構築をしています. また,移動ロボットが無線で操縦される場合には,電波の届く範囲や,その無線でデータを通信するときに使える帯域に制限が存在します.実用的なシステムをめざし,これらの制限を考慮したシステム作りも行っています.
  • 自律移動ロボットを実現するための研究
 現状のレスキューロボットは,一人のオペレータが1台のロボットを動かすものになっています.しかし将来的には,一人のオペレータが複数台のロボットを同時に動かして,効率のよい探索活動を行うことが理想です.一人で複数台のロボットを操縦するのはオペレータにとって大変な負荷になります.そこで,オペレータの負荷を軽減するために,ロボットはある程度,自律的に動く必要があります. 現在までの研究で,ロボットが自分の自己位置を推定しながら障害物を回避する移動や,オペレータの指示した経路に追従する移動,壁沿いに部屋の中を一周する移動などを実現しています.また,複数台のロボットが群として移動するためのアルゴリズムの研究も行っています.